
©Aster (Rusk) 2007
- 一つの交通事故から起こる複数の視点からの群像劇
- 奇跡が無い世界での苦悩しながらも前を向くためのストーリー
- 残酷な現実があり鬱になりながらも最後には泣けるゲーム
評価 シナリオ B キャラ A 総合評価 B-A 名作一歩手前
感想
Asterはいわゆる「泣きゲー」と呼ばれる作品ですが、Key作品のように奇跡が起きて全てが救われるタイプの物語ではありません。起こった悲劇は現実と同じように取り消されることなく、その後の人生が淡々と、しかし重く続いていきます。
本作は一つの交通事故をきっかけに、主人公とヒロイン4人がそれぞれ抱える苦悩を描く群像劇です。物語の序盤は、双子の姉妹と主人公による学園生活から始まり、妹とは恋人関係になります。妹はとても素直で可愛らしいヒロインで、姉も二人を温かく見守る存在だったため、「これから幸せになっていくのだろう」と思わせる空気がありました。
しかし、その矢先に交通事故が起こり、妹は亡くなってしまいます。展開自体は覚悟していたものの、キャラクター描写が丁寧だった分、やはり喪失感は強く、非常に印象に残る出来事でした。事故後に流れるOPも含めて、本作を象徴するシーンだと思います。
ここから物語は、本格的な群像劇へと移行します。事故によって一変した日常、それぞれの後悔や罪悪感、立ち直れない感情が描かれ、全体的に鬱々とした空気が続きます。ただし、どのエピソードも「絶望だけで終わる」わけではなく、それでも生き続け、前を向こうとする姿が描かれているのが本作の良さです。
特にラストエピソードは必見で、派手に泣かせる展開ではないものの、静かに胸に残る余韻があります。プレイ後には「やって良かった」と素直に思える締め方でした。
奇跡や救済を期待すると辛い作品ですが、現実的で重いテーマの泣きゲーが好きな人には強く刺さる一本です。万人向けではありませんが、「喪失の後をどう生きるか」を描いた作品として、印象に残るタイトルだと思います。



コメント